
那覇市議会議員の上里ただし(たーしー)です。
2025年6月定例会では、「学校プールの管理と開放」に関する一般質問を行いました。
近年、教員の負担増加が社会的な課題となっている中で、学校のプール管理や水泳授業もその例外ではありません。
今回は、そうした現状に対応するため、民間委託による管理の合理化と、
市民への開放という新しい視点からの提案を行いました。
この記事では、その議論の流れをわかりやすくご紹介します。

プールの管理と水泳授業——教員への大きな負担
まず、学校プールに関する現状について。
プール授業にあたる教員は、子どもたちの命を守るという強い責任の中で、常に事故のリスクと隣り合わせです。
教育委員会の稲福生涯学習部長からの答弁でも、
「全国では水泳授業中の重大事故が発生しており、教員の心理的負担が大きい」
「プール清掃や水質管理なども含め、時間的な負担も大きい」
といった現状が示されました。
つまり、ただでさえ多忙な教員にとって、プールに関する業務は負担の上乗せとなっており、
学校教育全体の質にも影響しかねないのです。
民間委託という選択肢——安全性と効率の両立を目指して
こうした課題に対して、私は民間委託の導入を提案しました。民間のノウハウを活用することで、
- 安全面に優れた専門スタッフによる水泳指導
- 効率的なプール施設の管理
- 教員の本来の教育活動への集中
といった効果が期待できます。
また、委託により空いた時間や施設を、市民の健康づくりのために開放することも視野に入れた提案です。
夏の暑い時期に、身近な場所で安全に泳げる機会は、多くの市民にとっても大きな価値があるはずです。
教育委員会の見解は?——前向きな姿勢を確認
これに対して稲福部長からは、
「市民の健康増進の観点からプール開放は有用である」
「ただし、安全な運営や施設管理、経費の課題もあり」
「民間委託も含めて、先進自治体の事例を調査研究する」
との答弁がありました。現時点で明確な導入方針は出ていませんが、少なくとも可能性を否定することなく、「調査研究を進める」という姿勢が示されたことは前進です。
全国ではすでに広がる「学校プール開放」の動き
那覇市だけでなく、全国でも教員の働き方改革の一環として、学校プールの管理委託や市民開放が少しずつ進んでいます。
たとえば、
- 東京都内では一部の区が民間業者に管理を委託し、教員の負担軽減に成功
- 長野県や福岡県では、放課後や夏季休暇中に地域住民が使用できる開放プログラムを実施
- いずれも安全対策を民間のノウハウで補完し、好評を得ている
こうした実例を参考にしながら、那覇市でも現実的な導入計画を立てることが十分に可能です。
教育と福祉の連携で“地域の学び場”へ
私は今回、「教育委員会が抱える課題」と「市民の健康支援」という一見別のテーマを、
学校プールという共通の資源でつなぐ提案をしました。
つまり、学校の中だけに閉じた施設運用ではなく、地域全体の利益となるような開放的で柔軟な運用が、
これからの時代に求められるのです。
こうした方針は、SDGsの「持続可能なまちづくり」にも合致するものだと考えています。
今回の提案は「スタート地点」
今回の質疑では、私はあくまで「提案」という形で意見を述べるにとどめました。
その理由は、実現までにクリアすべき課題が複数あることも踏まえた上で、
まずは教育委員会が本格的に検討を始めることを促すためです。
最後に、私はこう要望を述べて一般質問を締めくくりました。
「プール指導や管理について様々な支援がすでに行われていることも承知している。
ただ、それでもなお教員からは“まだ十分ではない”という声が上がっている。
ぜひ調査研究を進めていただきたい」
市民の声を活かすまちづくりを
学校プールは単なる授業の場ではなく、地域全体の共有資源です。だからこそ、教育の質を守りながら、市民の健康と学びの機会にもつながる仕組みづくりが必要です。
私自身、今後も教育委員会との意見交換を重ね、市民の声を政策に反映させることに取り組んでまいります。
この内容は市民目線から考えるラジオでも配信しています。
ぜひラジオも合わせてご視聴ください。
たーしーなにしてるばぁ~ポッドキャスト(上里ただし)
「こんな風に使えたらいいな」「地域で泳げる場所がほしい」など、皆さまからのご意見もぜひお寄せください。
那覇市議会議員 上里ただし