上里ただし2025年那覇市議会6月定例会 

中城御殿跡地に誕生する新博物館に期待——琉球文化財を取り戻す取り組みを市議会で提案

那覇市議会議員の上里ただし(たーしー)です。

今回の6月定例会では、首里・中城御殿跡地に整備が進む新しい博物館について取り上げました。
この博物館は、那覇市が所蔵する国宝・尚家関係資料を中心に展示する場として注目されていますが、
私はそこにさらに一歩踏み込んで、「県外・国外に流出した琉球文化財を収蔵・展示する施設」
としての役割を強く期待し、質問を行いました。


中城御殿跡地に整備される新たな博物館とは?

まず簡単に背景を説明すると、中城御殿跡地は、かつて琉球王国時代に王族が住んでいた由緒ある場所です。
ここに新たに整備される博物館では、那覇市立歴史博物館が所蔵する貴重な文化財——
たとえば国宝の尚家関係資料——を中心に展示される予定です。

この計画はすでに進んでおり、2026年度以降の完成が見込まれています。
新しい施設は、首里城正殿の復元に合わせて、新たな観光・文化の拠点としての役割
果たすことが期待されています。


流出した琉球文化財を取り戻し、市民に見せたい

私が今回の質問で強調したのは、この新博物館が単に市所蔵の資料を展示するだけでなく、
現在も県外・国外に流出している琉球文化財を計画的に収集・展示していく施設になってほしいということです。

たとえば、琉球王国時代に作られた工芸品や記録、肖像画、外交資料など、
明治以降の時代の変化の中で多くが外部へ流出していきました。
なかには、昨年沖縄県へ返還された「琉球国王の御後絵」のような、極めて貴重な品もあります。

このような文化財が那覇市に戻ってくることは、単なる展示品の充実にとどまらず、
私たちのアイデンティティを再確認し、地域文化を次世代に伝えていくことにもつながります。


市の答弁:「交付金を活用して文化財購入を進めている」

市民文化部の加治屋部長は、次のように答弁しました。

  • 現在も県外・国外に流出した文化財について情報収集を行っている。
  • 2025年度には「沖縄振興特別推進市町村交付金」を活用し、フランス軍艦の屋我地島停泊を描いた
    「仏朗西国船三艘運天津着場図」を購入予定。
  • 今後も計画的な収集と展示を進める。

この答弁から、市としても文化財の価値とその収集の必要性をしっかりと認識していることが確認できました。

また、文化財の購入には高額な予算が必要な場合も多いため、
国の交付金や補助制度を活用していくことが現実的な手段となります。
私はこの点でも「一括交付金のさらなる活用を」と提案しました。


那覇市立歴史博物館の家譜が重要文化財に

さらに私は、那覇市立歴史博物館に所蔵されている「家譜(かふ)」が
国の重要文化財に指定される見込みとなっていることにも触れました。

「家譜」とは、琉球王朝時代における家系図や家族の歴史を記した記録です。
この指定が正式に行われれば、那覇市の文化財としての価値はさらに高まり、
それに呼応するように、各家庭に眠る家譜の寄贈が進む可能性もあると期待しています。

こうした文化財の寄贈と整理、そして展示の充実は、博物館の機能強化につながるだけでなく、
地域の記憶やアイデンティティの再発見にもなります。


流出文化財の収集を「市民との対話」から

流出した文化財の収集は、単に市が買い付けるというだけでなく、市民や研究者との対話やネットワークづくりがカギとなります。

私はこう述べました。

この取り組みが広まれば、「うちにもこんな資料がある」「祖父母が大切にしていたものを寄贈したい」といった声が自然と集まるようになるはずです。

つまり、文化財の発掘は“人”から始まるのです。
行政が計画的に動くだけでなく、個人の思いや家庭にある大切な資料が共有されることで、
大きな文化の復元へとつながっていきます。


今後の展望——新博物館を首里の新たな文化拠点に

首里城正殿が完成する2026年に向けて、那覇市の歴史文化政策は大きな転換期を迎えています。
その中心に位置するのが、この中城御殿跡地に整備される博物館です。

私はこの博物館が、

  • 国宝や重要文化財を市民が身近に見られる場所
  • 流出文化財の受け皿となる場所
  • 子どもたちが琉球の歴史を体感できる学びの場

として整備されることを強く願っています。

そのためには、文化財の収集、展示、保存だけでなく、施設の運営体制や予算措置、
市民参加型の取り組みも今から準備が必要です。市議として、こうした点を今後も丁寧にチェックし、提案してまいります。


まとめ——文化財は未来への贈りもの

文化財は、過去から私たちへ贈られた大切なメッセージであり、それを次の世代へ届けるのが今を生きる私たちの役割です。

首里のまちに、新たな歴史の拠点が生まれようとしています。それは単なる博物館ではなく、
「琉球の記憶を未来へつなぐ」場所になるはずです。


この内容は市民目線から考えるラジオでも配信しています。
ぜひラジオも合わせてご視聴ください。
たーしーなにしてるばぁ~ポッドキャスト(上里ただし)

引き続き、市民の皆さんとともに、文化を守り、育てるまちづくりを進めてまいります。

那覇市議会議員 上里ただし



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