上里ただし

生活支援の新たな形「コミュニティフリッジ」導入に向けて——那覇市の未来に必要な仕組みとは?

那覇市議会議員の上里ただし(たーしー)です。

今回の6月定例会では、物価高騰や生活困窮が続く中で、誰もが dignified(尊厳ある)
支援を受けられる仕組みとして注目されている「コミュニティフリッジ(公共冷蔵庫)」の導入について取り上げました。

私自身、昨年視察した新潟県燕市の先行事例に感銘を受け、那覇市にも導入すべきと考えています。
この記事では、その質疑と行政の答弁を、市民の皆さんにわかりやすくお伝えします。


そもそも「コミュニティフリッジ」とは?

コミュニティフリッジとは、登録制の食品支援施設です。スマートフォンのアプリなどを使って
24時間いつでも施設のドアを解錠し、中に保管されている食品を必要に応じて受け取ることができます。

この仕組みの特徴は以下の3点です。

  • 人目を気にせず、プライバシーを守れる
  • 時間を問わず利用できる
  • 困っている人が“助けて”を出しやすくなる

特に燕市の事例では、地元企業経営者が先頭に立って設立を進め、市や地域団体とも連携して運営されていました。
まさに地域全体で生活支援の新たな形を築いた例だと感じています。


那覇市の現状は?

市の當山福祉部長からは、以下のような答弁がありました。

  • 那覇市では、寄附金や食料の寄贈をもとに、こどもの居場所を支援する団体への食糧支援
  • 生活困窮世帯へのフードドライブ事業を実施中。
  • コミュニティフリッジも有効な支援策だと理解しており、既存事業との整理を含めて調査研究を進めていきたいとの見解。

つまり、現時点では「前向きに検討しつつも、課題や整合性の整理が必要」という立場です。


既存支援の課題——時間と人手の制限

私は、現行の社会福祉協議会による支援は確かに意義あるものだと認めつつも、
「限られた時間と人手では対応に限界がある」と指摘しました。

特に次の点が重要です。

  • 支援を受けるには平日の限られた時間に、福祉窓口を訪れなければならない
  • 職員の配置がなければ対応できないため、夜間や休日に対応できない
  • 困っている人が【行きづらさ】を感じやすい

こうした状況では、真に支援が必要な人に届いていない可能性もあるのです。


スマホでアクセス、24時間オープン——だからこそ“ dignified ”な支援に

コミュニティフリッジが持つ最大の価値は、「いつでも、誰にも知られず、必要な支援を受け取れる」ことです。

人目を気にせず、匿名でアクセスできるということは、それだけで精神的な負担を大きく軽減します。
まさに、「支援される側」の立場に立った仕組みです。

また、スマホを活用することで、食料提供だけでなく、必要に応じて

  • 支援制度の情報
  • 就労・住宅支援の案内
  • 地域の子育て支援や教育資源の紹介

といった多様な情報提供も可能になります。これは単なる冷蔵庫ではなく、
「支援のプラットフォーム」としての機能も持ち得るという点で、非常に有効です。


民間だけに任せるのではなく、行政の関与が不可欠

視察した燕市では、地域企業が積極的に取り組みを推進していましたが、那覇市の場合は事情が異なると感じています。
企業任せでは難しい面が多く、行政が本気で関与しなければ、この仕組みは根付かないというのが私の実感です。

特に、

  • 公共施設や空きスペースの提供
  • 安全管理と個人情報保護
  • 寄付の管理と流通体制の構築

といった面で、市が主導的に取り組む必要があります。


次の一歩へ——調査研究の中身が問われる

市は「調査研究を進める」としていますが、私はこの言葉が「検討だけで終わる」ことのないよう、
以下のようなステップを提案したいと考えています。

  1. モデル地区の選定(生活困窮者が多い地域など)
  2. 地域団体や企業との協議開始
  3. 既存支援事業との整理と連携方法の設計
  4. 小規模な実証実験の実施
  5. 利用者からのフィードバックをもとに運用改善

このように、実現可能な道筋を一歩ずつ進めていくことが重要です。


市民の声とともに進める仕組みに

コミュニティフリッジは、設置して終わりではありません。地域の皆さんが、余った食品を寄付したり、
施設を維持したりといった「支える側」としての参加も必要です。

これは「困っている人を支える」だけでなく、「地域で支え合う文化を育てる」ことでもあります。

まとめ——「安心して助けを求められる社会」へ

生活に困っても、「誰にも知られず」「いつでも」支援が受けられる。それがコミュニティフリッジの本質です。

私は、那覇市がこうした仕組みを本気で取り入れ、「安心して助けを求められる社会」を実現していくことを、強く願っています。
困っている人が声を上げやすい社会、そしてそれに応える市政。これが、私が目指す市議の姿です。


この内容は市民目線から考えるラジオでも配信しています。
ぜひラジオも合わせてご視聴ください。
たーしーなにしてるばぁ~ポッドキャスト(上里ただし)

これからも、現場の声を政策に反映させ、誰も取り残さないまちづくりを進めてまいります。

那覇市議会議員 上里ただし



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